ラテン系の国々を回ってきたせいか、異様に高く感じられた。
ギリシャやイタリアの街や村を歩いている時、三千夫には意外だったが、自分より背の高い男女より低い人のほうがずっと多かったのだ。
同じラテン系でもこんなに違うのか。
それにしても、黒メガネのチョビヒゲは馴れ馴れしかった。
満面にたたえた愛想笑いは、受け止めようによっては、人を小馬鹿にした笑いと思えなくはない。
三千夫はこの手の人物が苦手だ。
時間の経過とともに次第に不快感が昂じてくる。
わざとらしい身振り手振りが軽薄の感を否めず、頭のてっぺんから靴の先まで、紳士気取りが丸見えであった。
これがスペイン流の伊達男か。
闘牛とフラメンコの国にしては軟弱ではないか、と内心おかしくもあった。
若いウェイトレスが料理やフォークなどを並べているあいだ、だて男はテーブル越しに立ったまま、三千夫を見下ろしていた。
しきりにネクタイに手をやったり、ポマードを塗りつけた髪を撫で付けたりしている。
【随想の最新記事】

