2010年01月10日

いにしえに迷うE薬師寺

薬師寺金堂薬師三尊.jpg  薬師寺金堂薬師三尊像

そして例のごとく、荒廃した『歴史の道』を南に、天武帝勅願の薬師寺へ足をのばす。

途中で夕食をとり、完成直後の新金堂で白鳳の傑作、阿弥陀如来像と日光・月光両菩薩を見上げたのは、すでに堂塔が深い闇に閉ざされようとする時分であった。

大池から眺める東塔の驚嘆すべき古代美。

1200年間もの長い間、秘仏救世観音を包んでいた布をはぎとったアメリカ人フェノロサは、この東塔を、凍れる音楽と形容した。

その九輪の頂にそびえる水煙のシルエットが、心なしか愁いを帯びている。


ところで、当日が新金堂の落慶法要式であることを迂闊にも知らなかった。

すぐに宿坊に電話して、門を閉めないように頼んだ。

儀式は深夜、古式ゆかしく厳かに執り行われた。

堂内に流れる荘重な読経の調べと、流麗な曲線を描く三体の尊像が渾然と奏でるメロディーは、さながら浄土はかくやと思わせるものであった。

午前一時近く、かりそめの法悦と抗しがたい睡魔とともに式の途中、金堂を抜け出た。





posted by asaborake at 23:18| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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