2007年11月24日

だて男 @

国 際 列 車  国 際 列 車

夕暮れ時に、イタリアジェノバ駅を発車した国際列車は、コートダジュールの長い夜の闇を走り抜け、明け方の薄明にしだいに浮かび上がるスペイン・カタロニア地方の赤茶けた岩肌を縫って、午前7時近く、バルセロナ駅に静かに滑り込んだ。

雪が、舞っていた。

大滝三千夫は、五十恰好のトレドに住むというスペイン人夫妻と、同じコンパートメントに乗り合わせていた。

小さく背伸びして車窓に目をやったスペイン人妻が、満面に喜色をたたえ、まだ目の覚めきらない夫の肩をつついた。

そして二人で、大きなジェスチャーをまじえ、子供のようにはしゃいでいる。

窓の外を、白い雪が舞っているからだ。
一月とはいえ、温暖なカタロニア地方では、近年にないことという。

三千夫は、駅構内のカフェーで軽い朝食をとって、雪のちらつくバルセロナの街へ出た。

駅近くに見かけた、小さなホテルでチェックインを済ませ、市内観光地図を頼りに、当座の目当てである『ピカソ美術館』を目指した。

途中、1492年にジパングを目指して出航した、サンタ・マリア号の実物大模型だそうな『コロンブスの船』が繋がれている海岸で、人だかりがしている。

気にはなったが、美術館は午前中で閉まると聞いていた。
先を急いだ。

ピカソ美術館は規模こそ小さいが、ピカソの若い時代の作品を中心に充実していた。

posted by asaborake at 11:56| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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